駐車場経営にも多様な種類
「駐車場経営」と言っても、さまざまな種類があります。周辺環境や面積、地形、さらには土地活用の目的も含めて検討する必要があります。
- 駐車場の種類
駐車場には、大きく分けて「平面駐車場」と「立体駐車場」があります。
平面駐車場は、一般的な駐車場で、アスファルト舗装を行ったもの、屋根付のもの、シャッター付のものなどがあります。
立体駐車場は「自走式」と「機械式」に分かれます。機械式駐車場は、「垂直循環式」「多層循環式」「エレベーター式」「多段式」の4つの種類があります。- 駐車場のタイプ別特徴
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それぞれのタイプの駐車場には、以下のような特徴があります。目的や状況に合わせた選択が必要になります。
初期投資が少ない
平面駐車場の場合、初期投資ゼロでの活用も可能です。立体駐車場の場合は充実した設備が必要となるケースもありますが、建物を建てる方法に比べれば、投資額は大きく抑えられます。
転用や更地への復帰が簡単
ロードサイド店舗で事業用借地権契約を結んだ場合や、アパート・マンションなどで借家権契約を結んだ場合、「借地借家法」により、他の用途への転用は困難になります。
しかし駐車場は借地借家法の適用対象外なので、事前の通告のみで、利用者を立ち退かせることができます。したがって、売却やマンション建設、相続税における物納など、他の活用法への転換も簡単です。
自由に料金設定ができる
駐車場経営は、賃貸借契約ではなく、寄託契約に基づいて運営するため、需要に合わせて柔軟に料金の設定ができる。マンションなどの経営と比較して、経営者が自由に料金設定できる範囲がおおきいといえます。
税制上のメリットは少ない
駐車場は、「建物」として認められないため、税制上の優遇措置などを受けることができにくい面があります。
- 固定資産税は更地評価
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駐車場は、アパート・マンション用地と違い、「住宅用地」とは認められませんので、固定資産税や都市計画税の軽減がありません。
- 相続税評価も更地と同じ
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相続税評価においても、「自用地評価」(更地と同じ評価)となります。「貸宅地」や「貸家建付地」による評価減は受けられません。
「小規模宅地の評価減」も「200m2まで50%」に抑えられます。ただし、立体駐車場の場合、「特定事業用宅地」として「400m2まで80%減」が適用されるケースもあります。 - 所得税負担が大きい
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平面駐車場の場合、減価償却費がありません。立体駐車場の場合も、「建物」と比べれば減価償却費は少ないです。「支出を伴わない必要経費」が少ないので、所得税が課税される部分もそれだけ大きくなります。
- 設置の制限、転用や更地復帰のコスト
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自走式駐車場や、多段式駐車場は「建築物」となり、建築基準法の適用を受け、「用途地域制限」により、住宅地での設置が認められない可能性もあります。 また、初期投資が比較的大きくなる立体駐車場の場合、転用時に投資額が回収できていなかったり、解体に多額の費用がかかったりすることがあります。
駐車場経営のカギ
駐車場経営の多くは、初期投資が少なくて済む分、経営効率を高めることで「ローリスク・ハイリターン」を実現できる可能性がありますが、以下のようなことに注意した方がよいでしょう。
- 車の流れ…「導入路」→「入口」→「場内車路」→「車室」→「場内車路」→「道路」 という流れをスムーズに行うことができるか。 渋滞が発生すれば、サービス機能は一挙に低下します。
- 安全性…駐車場は、車だけでなく、人の往来があります。安全で便利に移動できる導線が必要となります。高齢者や女性に配慮した駐車場にすることが必要です。
- 常に駐車場のニーズを考える・・・収容台数を増やせば、利益が上がるわけではありません。周辺の駐車場のニーズを調べたり、駐車場違反台数を調べることも有効でしょう。近隣の競合する駐車場の料金を調べることも重要です。